2013 Gayo Earthquake, North Sumatra 2013.7.2

呆然とする少女 (Acehの地元紙 Setambiより)
呆然とする少女 (Acehの地元紙 Setambiより)
震源地の周辺 ☆USGSによる震源、○GPS観測点(AGNeSS)、●火山観測所、楕円は倒壊家屋が集中する地域
震源地の周辺 ☆USGSによる震源、○GPS観測点(AGNeSS)、●火山観測所、楕円は倒壊家屋が集中する地域

July-2-2013 Gayo Earthquake
 4日、地元のシアクラ大学のメンバーと被災地を簡単に回った。山地の地滑りは起きていなかったが、このあたりはGeureudong火山の火山灰地域、そのため、台地の谷で崖など崩壊していた。また、サトウキビの農家が多く、豊かな家は煉瓦壁、貧者は板壁の家が多かった。その富者の煉瓦壁が倒壊して犠牲者が生じていた。貧富の差が被害には逆に出ていた。

 左図にはUSGSが求めた震源と二つの余震、および私たちのGPS観測点、火山観測所の位置を示す。もっとも被害が集中した地域が楕円に位置する。スマトラ断層は左図の南50kmほど離れる。被災地はGeureudong火山の南西20kmほどにあたる。今回の地震と火山活動との関係が注目される。しかし、火山観測所には上下の一成分しか地震計がなく、火山性微動などが観測困難な状況にある。ちなみに同火山の最新の噴火は1937年、80年ほど前である。

 図に示すように、震源の周辺に私たちのGPS観測点も存在し、その内の一つは地震前数日から観測を始めていた。いかなる断層運動が生じたか、伊藤武男さんの解析に期待する。

 Gayo: Gayo民族が居住するアチェ州の高地、コーヒーの産地、スタバなどはスマトラコーヒーと称するが正式にはガヨコーヒー。Takegonにはお洒落なcafeも出来はじめた。2004年地震直後は夜は暗く、とても町中を歩けなかった。

火山観測所で記録された地震(高知大学の田部井による)
火山観測所で記録された地震(高知大学の田部井による)
TVのニュースでコメントするAgustanさん
TVのニュースでコメントするAgustanさん

インドネシアの研究者

 4日の昼ご飯を食堂で食べていたら、テレビではGayo地震のニュースを流していた。画面にどこかで見たことのある人物が登場した。名古屋大学で学位を取得したAgustanさんだった。なかなかご活躍である。

 今回、観測と調査に同行したシアクラ大学のNazli講師は、私たちがバンダアチェに戻った翌朝の地元紙Serambi紙に火山活動に注意の意見を投稿していた。なかなか素早い行動だ。

Takegon市内の商店で地震により棚から落ちた顔のマネキン(木股撮影)
Takegon市内の商店で地震により棚から落ちた顔のマネキン(木股撮影)

顔が転げ落ちた市内の商店
 二年ぶりにスマトラのアチェに出かけ、スマトラ断層のGPS観測に参加した。私の持ち場は標高1000mの避暑地Takegon周辺、気楽な観測のはずだった。2日昼食を終え、市場近くの市街を歩いていたら、びしびしと揺れ始め、5秒ぐらいあとに激しい横揺れが来た。足で踏ん張ったが、すくむこと はなかった。多くの市民が街頭に飛び出した。商店では棚から商品が落ち、道路脇のバイクは倒れていた。一部の建物は破損したり、壁に割れ目が入った。でも 買い占めに走る市民はいなかった。まぁスマトラ断層系の地震だろう。ちなみにUSGSはM6.1とした。

 さいわいにホテルの部屋は二階建の屋上に増築した木造家屋。落ちることはあっても下敷きだけはならないだろう。そんな開き直りで寝込んだ。

大噴火対策、国が主導 自治体任せから転換」報道によせて

 巨大地震だけでなく、巨大噴火に対する備えが進んでいない。巨大地震は日本列島をす撫すことはなくても、巨大噴火は日本列島に住む私たちの生活を脅かす。それに対して政府が具体的に取り組んでいないことは確かである。私も御嶽山を通して、御嶽山の防災を考えるには岐阜と長野両県が連携することが大切ながらも、国が具体的には何も行っていないことを痛感した。だから、今回の内閣府の有識者会が大噴火にたいする対策を訴えたのは理解できる。
 でもそれを報じるマスメデイアは「国の主導」を伝えるだけで、なにゆえ遅れてきたのかその問題点を明らかにしていない。それは明らかに国の政策がないからである。

 すでに国はいかなる理由をつけようが火山地域にある測候所を廃止するなど、あきらかに火山活動監視から大きく後退している。たとえば、御嶽山の観測データは岐阜地方気象台にも長野気象台にも流れていない。東京にある東京管区と気象庁に流れるだけである。

 その一方、二つの地方気象台には火山防災の担当官がいる。データも見えない中でいかに防災に取り組むのであろうか。ただ単に中央の見解を地域に説明するだけの役目なのか。

 こんな事を付くことができないマスメディアに歯がゆさを感じる。政府にしっぽを振れば、記者は安泰かもしれないが、マスメディアの役目が死ぬ。そんことを期待する時世ではないかもしれない。 2013.5.18

国や都道府県は住民と面しているのか 2013.5

 超巨大地震による被害想定発表が一つのブームになる。まずは、昨年夏の政府中央防災会議による南海トラフの超巨大地震の津波波高想定、そして今年に入り死者想定、これは地元の都道府県に全く事前に協議することなく行われた。各地でわが町内の津波想定はどうなのかという問い合わせが、役所に殺到したという。でも役所もマスコミを通して知るだけで詳細はわかるはずがなかった。
 そして、今度は都道府県がその被害推定の詳細化を行い、次々と発表する。こちらも市町村とほとんど協議することもなく、マスコミを通した発表が中心である。たとえば、東京都防災会議によると、南海トラフの巨大地震で津波により新島では最悪死者1299人という。新島は人口が12年末で2800人、生存率54%という大惨事が想定されている。
 このような被害想定は国や地方自治体での防災対策に活用するために実施するのである。決して研究者の研究成果ではない。この様な惨事をいかに減じるかのために検討されたはずである。ならば、その想定についてもっと地元の都道府県や市町村ときちんと協議し、住民の疑問に答え、そのための指針を示すことが重要なはずである。
 これまでの発表では、そのような態度が全くみられない。津波波高の想定なども、詳細なデータの発表はかなり遅れた。そもそも地方自治体は災害から住民の命と暮らしを守る使命を有する。また、国はそのような地方自治体を指導援助しなければならない。あくまでも被害想定は住民を守るためであり、国や自治体の自己弁護や施政アピールとして行われるのでない。マスメディアにもその情報を流すだけ、スタンドプレーを追求できないところに大きな問題点を痛感する。

芸も身を助ける 2013.3

今年も3月はフィリピンのミンダナオ島を訪ねた。ミンダナオに渡る前日、ホテル前の安居酒屋で日本人仲間と飲む。その一人、高知大の院生中村君が店でトランプ手品を店員に披露する。そういえば、10年も前、アリューシャン列島では「おはじき」を披露した学生もいた。芸もその国の人と仲良くなるのを助ける。ミンダナオでの奮戦を中村君に期待する。

今年も愛知シルバーカレッジで元気をもらう 6月

 例年の出来事となった愛知シルバーカレッジでの講義、5会場、名古屋、一宮、名古屋、豊橋、岡崎で、また生き生きとした人々との出会いは楽しく、今年も元気にやろうという気になる。三河地震の経験者を、毎年尋ねるが、今年は3名だった。そろそろ地震を知らない世代になりつつある。その1回をきちんと生き抜きたいものだ。
 資料1 なぜ二万人が 資料2 次の地震に備える

 

今年も新緑の浅間山で水準測量 5月

2012年浅間山水準測量参加メンバー 左から小野、平山、木股、藤川、村瀬、小西、宮下。廃止された軽井沢測候所の庭にて
2012年浅間山水準測量参加メンバー 左から小野、平山、木股、藤川、村瀬、小西、宮下。廃止された軽井沢測候所の庭にて

 昨年あたりに、これまで続けている水準測量が深部マグマ供給源の動きを捉えているとわかってきた。今年も新緑の中、小鳥のさえずりの下に1週間、水準測量を楽しんだ。7名、そのうち5名が気象庁の人々、新たな展開を気象庁に期待する。そして、名大の卒業生、小野さんがきちんと測量をマスターしたことにほっとした。変動は昨年と同様、深部供給源での収縮を示唆する15mmの沈降となった。第123回噴火予知連絡会報告資料

 

41年目ぶりの新たな職場 4月1日

土曜日まで大学にいて、その次の月曜日から東濃地震科学研究所に出かけた。家から自家用車でわずか10分。これまでJR車内の40分間は極めて貴重な時間だったが、もうその時間はない。しかし、メンバーが出てくるまでの2時間、これまた貴重な時間になりそうだ。

もう一つは隣で行っている超深層掘削工事、1000mの掘削でまわりの地殻がいかに対応するのだろうか、そんな重荷を感じて、4月1日を迎えた。

2011年

濃尾地震120年 10月28日

 濃尾地震から120年が経過した。私たちの住む東海地域では地震防災がすべて「東海地震」に矮小化されてしまった。活断層が多く分布するこの地域では内陸直下型がひょっとすると「東海地震」よりも早く、かつ大きな被害をもたらすかもしれない。

 私たちも、120年前に発生した内陸最大規模の濃尾地震について、国や県、そして研究者や気象台がいかに取り組んだかをきちんと学ぶ必要がありそうだ。地元紙の岐阜新聞や中日新聞が供養の記事しか取り上げないなか、濃尾地震の震源となった根尾谷断層について、置かれている状況をまとめていた。その記事

出版「三連動地震迫る」10月12日

3月11日の東日本太平洋沖地震、私たち、地震学を取り組む者が地震災害について、いかに接してきたか顧みる機会を与えてくれた。まさに二万人の犠牲者に 見つめられている。一方、私たちは南海トラフで次に発生する東海・東南海・南海地震から逃げることはできない。この超巨大地震にいかに対応するか。そんな 思いで「三連動地震 迫る」を中日新聞から発刊しました。詳しく

根尾谷断層の草刈り 9月22日

地震が断層運動の結果であることを120年前に教えてくれた根尾谷断層。その6㍍の変位が特別天然記念物として保存されている。しかし、根尾も過疎化が進み、休耕地が増え、断層崖も草が茂るようになった。そこで断層の草刈り作業を始めた。これまでの取り組み